「正しいもの」なんてなくて「確からしいもの」があるだけがほとんどかもしれない
昨日は「人がだまされる理由」について書きましたが、
その中で取り上げていた【医学】と【ニセ医学】について
いただいたコメントに関して、いろいろと考えさせられました。
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コメントは種々ありましたが
「【ニセ医学】とかいうけど、そもそも【医学】も、本当に確かなものなの?」
というスタンスでのコメントだったように感じます。
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それはその通りで、今の【医学】でも
十分なデータが取れているもの(たとえば薬の薬効など)もあれば
経験則的なもの(「肥満が生活習慣病の原因になる」とか、漢方医学など)
もあるでしょう。
逆に、現在は【擬似医学】とされているものにも
きちんと解明されていないだけで本当に効果があるものもあるでしょうし
(たとえば、僕はガンになったらアガリクス茸を飲む気がします)
明らかに
インチキだろう、というものもあります
(除霊で病気が治るとか)
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白か黒のどちらかしかないのではなく、その間には無限のグレーが広がっていて
それを勝手に 「これは【医学】」 「これは【擬似医学】【ニセ医学】」
と断定し、拡散することの危うさを、警鐘いただいたのだと思っています。
まさにその通りで、感謝いたします。
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だからと言って
「抗がん剤治療」と
「アガリクス(というガンに効くといわれるキノコ)」と
「除霊師」を同列に考える人はいないと思います。
もちろん「抗がん剤治療」は絶対に正しくて、「除霊師」は間違いとは言いません。
しかし【確からしさ】という点では明らかに違いがあります。
では、これらの何が違うのか、といえば、やはり
【統計データ】 と 【理論】
なのではないかなと思います。
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【統計データ】 というのは、つまり
その”治療”をした場合と、しなかった場合とで、
その後の経過が、単なる誤差ではない範囲で違うか
ということです。
その点、
「抗がん剤治療」には、「5年生存率」「10年生存率」などの
各種の統計データがあります。
「アガリクス」や「除霊師」には、【体験談】はあっても
十分な統計データはおそらくないでしょう。
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もちろん統計は【因果関係】ではなく、あくまで【相関関係】でしかありません。
「日常的に運動している人ほど病気になりにくい」という統計があったとしても
実はそれは【因果関係】ではなく、たとえば
「運動している人には、アクティブな人が多い」という【相関関係】と
「アクティブなことにより、病気になりにくくなる」という【因果関係】とが
複合した結果かもしれません
(これは、あくまで例で本当に上記の相関・因果関係があるかは知りません)
それでも【相関】の有無は、【確からしさ】の目安になるに違いないでしょう。
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次に 【理論】 の違いがあります。
抗がん剤には、一応の理論があるはずです。
「アガリクス」に理論があるのか僕は知らないのですが、無いような気がします。
だからといって「アガリクスに効果がない」といえる理屈もまた無いとは思います。
一方、「除霊師」には、「霊によって肉体の病気になることはない」と言えるだけの
理論を用意することができます。
(たとえば、以前に書いた”自然界には4つの力しかない”という点から)
もちろん理論が間違っていることや、理論の前提がおかしい場合もあるでしょう。
実際、医学に限らず、科学の歴史を見ても、
それまで定説とされていたことが覆った例はいくつもあります。
それでも理論の有無は【確からしさ】の判断基準になるはずです。
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まとめると、次のような感じでしょうか。
統計データ 理論
抗がん剤治療 ○ ○
アガリクス × △
除霊師 × ×
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分かりやすく、○・△・×で書きましたが、
本当はこんな3種類で分けれるものでもないはずです。
そしてその中のどこかに【医学】と【擬似医学】との境界線があるのでしょう。
その境界線をどこに引くかは、本人の判断であって、
他人がとやかく言うものでもないのかも知れません。
それでも
・何の判断基準も何ももたずに判断するのと
・【それなりに確からしい判断基準】をもって判断するのでは
きっと結果は異なるのではないかと思う次第です。