QED

私はこの世界について驚くべき真理を発見した。だが、それを記すにはこのブログは狭すぎる。

人がだまされる3つの理由

【読書感想】「ニセ医学」に騙されないために

http://blogos.com/article/96002/

を読んで「人がだまされる3つの理由」について考察してみました。

【ニセ医学】の蔓延に警鐘をならす本、みたいですが

それに留まらず

  「なぜ人はだまされるのか」

というテーマについても触れられている記事です。

この記事にもある【アガリクス茸】は、

「自分もガンになったら飲もう!」

と思っていたくらいでしたので、なかなか共感する内容でした(笑)
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では「なぜ人はだまされるのか」3つの理由を考えてみます。
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■1.苦しいからだまされる

おぼれるものはワラにもすがる、というのは間違いなくて

本当に苦しかったら、何かにすがらずにはおれない弱さを人間はもっています。

しかも

>一度「ニセ医学」にハマると、なかなか抜け出せません。

とあるように、一度すがってしまったら、すがったものを手放せなくなってしまう。

隣にもっと大きな丸太があっても、その丸太にすがるには、

今すがっているものから手を離さなくてはいけません。

本当に苦しいときには、恐ろしくてできないんじゃないでしょうか。
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他人のそんな姿を見て笑えるのは、自分がそんなに苦しくないときで

自分自身が、本当に悩んでいるときには、同じように

おかしなものにも、すがってしまうのだろうなと思います。

そうならずに済んでいるのは、自分が比較的、恵まれた状況にあるからで

それは感謝すべきことなのでしょう。
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■2.正しい知識がないからだまされる

僕はいわゆる【疑似科学】【ニセ科学】には、普通の人よりは敏感なつもりですが

【擬似医学】【ニセ医学】については、そこまで判別がつきません。

それは単純に、医学についての知識が科学の場合ほどないからだと思います。
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何が正しくて、何が間違いなのか、を知らなければ

「これが正しいんだよ!」と強く言われれば、ホイホイ信じてしまいます。

その【知識】といっても、単に「こういう場合はこう」という丸暗記の知識では

「その知識は実は間違いです!」と言われたら、ひっくり返るかも知れません。

・何が正しいのか、何が間違いなのか

を知るだけではなく

・なぜそれが正しい or 間違いと言えるのか、という根拠、理屈

まで理解することが重要なのではないでしょうか。
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■3.だまそうとする人間の方が親切だからだまされる

この記事の中で、一番ハッとさせられたのが

>「ニセ医学」がこんなに盛況なのは、「ニセ医学が正しいから」じゃなくて、
>「ニセ医学を薦めている人たちのほうが、医療従事者たちよりも患者さんの話を
>誠実に聞いているようにみせる技術に長けていたり、
>相手が欲しい言葉をかけてあげているから」なのかもしれない

という点です。

人間は、自分が信頼した人の言うことを信頼します。

「嫌いな人の真実よりも、好きな人のウソがいい」とはよく言ったもので

自分が好意をもった人間の言うことは、10割増しで評価してしまう性を

僕らは持っています。

しかも

  詐欺師の方が、物を売るのがうまい

とも言われますが、それは商品自体が粗悪な分、

売るためのテクニックに磨きをかけているからです。

商品自体は、買ってみるまで分かりませんから

「売る」段階(治療で言えば、どの治療を受けるか選択する段階)では

詐欺師の方が信憑性があって、信頼できてもおかしくないでしょう。
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加えて

> 正しいというのは、人を傲慢にさせるのではないか

と指摘されているように、皮肉にも自分がやっていることが【正しい】ために

傲慢になったり、相手を見下すような態度をとれば

それは相手に伝わり、不信感ともなるかもしれません。
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「詐欺師の方が親切で信頼できそうに見えた」

などと言われないように心したいものです。
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以上、人がだまされる理由として

1.苦しいからだまされる
2.正しい知識がないからだまされる
3.だまそうとする人間の方が親切だからだまされる

という3点をあげてみました。

逆に言うと、この3点に当てはまる状況では、

だまされる可能性が上がるということでもあります。

つまり

1.自分が苦しい状況にある
2.その分野についての知識が乏しい
3.相手が親切で、つい無条件に相手の言うことを信じてしまいそうになる

という状況では「だまされているのではないか」というアンテナを

いつもより高くする必要がありそうです。

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最後に、以下の部分を引用します。

> 著者は、「どこかに、いまの医学では知られていない、あるいは秘密にされている治療法があるのではないか?」という期待に対して、次のような例を挙げています。
>
>「お金持ちや専門家しか知らない秘密の食事療法が存在する」と考える人もいるようだ。だが、アップル社を設立したスティーブ・ジョブズ氏の死因を思い出してみよう。報道によると、2003年に膵臓がんと診断されたとき、ジョブズ氏は手術を受けず、菜食や有機ハーブなどの食事療法を含む民間療法を試したそうだ。しかし、9か月後の検査でがんの増悪がわかり、ようやく手術を受けたという。あのジョブズ氏がアクセスできなかった秘密の情報が、存在するだろうか。


大学の医学部と、製薬会社の蜜月関係なんかもあるので、分からないですが

少なくとも「医学」という、ほぼ全ての人が関心をもつ分野において

「秘密の治療法」はなさそうな感じがします。

(もし本当にあれば、製薬会社が開発して、大利益をあげているはずですから)

元の『「ニセ医学」に騙されないために』についてもまた読みたいと思います。
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