ブランドの作り方1
あなたは、今、買った商品を「なぜ買ったのか」説明できるでしょうか。
星の数ほどある類似商品の中から、たった1つの商品を買った理由。
その背景には、企業のブランド戦略があるのかも知れません。
ブランディングの良著『なぜ買い続けてしまうのか』(井上浩嗣,松野隆一)
から、ブランディングの方法を紹介します。
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「ブランド」というと、
シャネルやルイ・ヴィトン、GUCCIなどを想像するかも知れませんが
【ブランド】とは
名前やマークなどから思い出される”記憶”
と本書では定義します。
なので、シャネルやGUCCIに限らず、
「おーい、お茶」や「植物物語」も【ブランド】です。
これらの【ブランド】は、
僕らが商品を選択するときに非常に大きな役割を果たしています。
なにしろ記憶にないブランド(そもそもブランドと言えませんが)は
なかなか買う気にならないものです。
買う気どころか、情報収集する気にもならないことが多いでしょう。
それほど
【ブランド】として記憶されているかどうか
は、物があふれている現代において、死活問題となっています。
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では、どうしたら【ブランド】として強固な記憶をつくれるのか。
本書では【ワンワード(一言)ブランディング】が提唱されています。
かんたんに言えば
誰もが知っている一言のやさしい言葉と、ブランドを結びつけること
です。
たとえば
○「植物物語」ならば「植物」
○「大人のふりかけ」ならば「大人」
といったような感じです。
このように
・商品名自体に、言葉を含めてしまう方法
のほかにも
・言葉を広告コピーやスローガンで継続的に使う
(例)ダヴ→ミルク、 シャープ→液晶
・言葉に代わる視覚情報を継続的に使う
(例)ラックス→ハリウッド女優、 チョコラBB→女性
などがあります。
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ブランドと平易な言葉を結びつけるメリットとしては次の通り。
1.再生効果
知っている言葉から、芋づる式に何かを思い出すことはよくある話。
既知の言葉と結びつくことで、ブランドが思い出しやすくなります。
(記憶のメカニズム的には「再生」を起こしやすくすることに相当)
2.識別効果
言葉は認識を作ります。
日本酒の「吟醸」「本醸造」「純米」の違いは普通分かりませんが
ラベル付けされることで、その違いを認識できるようになります。
そのように、言葉によって他ブランドとの差別化が明確になります。
3.連想効果
たとえば「植物」という言葉から、僕らはいろいろなものを想像します(体に優しい、安全、など)
そのため、適切な言葉を選ぶことによって
ブランドの特徴や価値を短い言葉で伝えることができます。
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では、
商品特性を明確に伝え、
他ブランドとの差別化をはかることができて、
誰もが知っている平易な言葉を見つけるには、どうすればよいのか。
それについて、本書では
・できるだけ多くのブランドに関わる人を集め、
・ブランドの客観的事実を共有し
・ぴったり来る、平易な言葉を探す
ことを勧めています。
その上で、言葉を探すときの目のつけどころとしては
1.ブランドの製品特性
(製品についての客観的事実や、そこから受ける印象を言葉にする)
2.消費者の便益
(消費者にとってのベネフィットを直接的・間接的な言葉にする)
3.ブランドにまつわる人
(どんな人が使うのか、推奨しているのか)
4.ブランドにまつわるシーン
(その製品が使われるTPO)
の4つの視点が例示されます。
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そして、ぴったり来る言葉が見つかったならば、
それを一貫して使い続け、消費者の記憶に残すことが最も重要です。
記憶は1日にしてならず。継続は力なり。
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しかし、こうして記憶に残るブランドができたとしても
これだけでは、やがて「飽き」が来たり、
他社がマネをするかも知れません。(例:アミノ酸飲料)
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そこで、ブランドと「感情」を結びつける必要があるのですが
それについてはまた次回。