「名著」の条件
■「名著」の条件
今頃ですが『人を動かす』をようやく読みました。
人間関係の名著ですね。
『人を動かす』という邦題からすると
NLPのような人心掌握のハウツー本のイメージを持っていましたが、
(読まれてたことのある方ならお分かりの通り)
他者と良好な人間関係を築くための態度を啓蒙する本でした。
原著タイトルが
『How to Win Friends and Influence People
(友を獲得し、人々に影響を与える方法)』
であることを知って、それも納得。
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本は、次の4つに大別できると僕は考えています。
1.世界観・価値観・人間観を変える本
2.ノウハウ・ハウツー本
3.知識を伝える本
4.娯楽のための本
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1.世界観・価値観・人間観を変える本
いわゆる【新しい物の見方】を提供してくれる本。
世人の蒙(もう)を啓(ひら)き、時に、人生の方向をも変える。
哲学書・宗教書・優れた科学書などに多い。
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2.ノウハウ・ハウツー本
何かの「やり方」を教える本。
時間管理やマーケティング、セールスなど
目的に応じて様々なハウツー本がある。
ビジネス書・実用書といわれるものはたいていこれ。
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3.知識を伝える本
教科書や専門書など。
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4.娯楽のための本
読んで「楽しむ」ことを目的とした本。小説、マンガなど。
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もちろん、たいていの本は複数の要素があるわけですが
「名著」といわれる本は、例外なく1番の要素を持っています。
なぜならば、1番の要素だけが、時代を経ても朽ちぬものだからです。
ノウハウや知識は、時代遅れになりえます。
娯楽も、その土地や時代の文化に影響されるので、
必ずしも古今を通じるとはいえません。
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言葉を変えれば【教訓的】である、ともいえます。
たとえば、合い矛盾する次の2つのことわざは、
それぞれ異なる【物の見方】を教えています。
「急がば回れ」
「先んずれば、すなわち人を制す」
ゆえに矛盾していても何の問題もないわけです。
【物の見方】はさまざまにあって良いのですから。
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『人を動かす』に一貫しているのは、
相手を尊厳ある一個の人間として接する
という人間観です。
その人間観を土台として
では「尊厳ある人間」は、どのように扱われることを望んでいるのか
を記しています。
その点で、単なる人心掌握のハウツー本とは一線を画し、
不朽の名著として、今なお親しまれているのではないかと愚考する次第。
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僕自身、文章を書くときには、
世界観・価値観・人間観を変える話
をできる限り盛り込み、不朽の文章を目指したいと思います。
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【今日の結論】
○「名著」といわれる本には、
時代を通じて変わらない教訓的要素=物の見方が教えられている。
ゆえに古今東西の人々に通用するのである。